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2021-09-21

ムーアの法則を延命するにはSoCを捨てなければならない

2000年代以降、システムオンチップ(SoC)は、電子システムの性能最適化と低コスト化の絶対基準として君臨しています。スマートフォンの実質的に全てのデジタルとアナログ機能を、ひとつの巨大なチップに組み入れたプロセッサーは、SoCのほぼ完璧な見本といってよいでしょう。しかし、現在の最先端ICは、製造装置のレチクルサイズによって制限されるチップサイズの上限に達しつつあります。チップサイズの限界を押し広げるのは困難であることは確定的であり、何年もかけてわずかに拡大するばかりです。一方で、メモリー、ロジック、アナログ/ミクストシグナルの集積度を高めた、より大きく高機能な電子システムを求める市場からの圧力は衰えることがありません。

この問題を解決するために登場したのが、しばしば「3D-IC」と呼ばれている3次元および2.5次元のマルチダイ・チップ・アセンブリーです。これにより、システムを複数の小さなチップに分散し、これを密に組み立て、高速かつローパワーの相互接続技術で配線するという技術的ブレークスルーがもたらされました。3D-ICでは、システム全体を1つのSoCに統合するのではなく、複数のチップに分散させることで、ムーアの法則がレチクルサイズの制約を突破することを可能にしたのです。また、個々のチップのサイズを小さくすることで歩留まりを向上させ、異なるプロセス技術を機能に合わせて混在させることも可能になりました。

 

半導体設計を前進させる4つの原動力

しかし、この道のりには困難がないわけではありません。設計会社は、次の4つの技術および市場の原動力に適応し、対応するために多大な努力をしています。

  • 信頼性の高い効率的な電子システムを実現するための、マルチフィジックス解析の要求拡大
  • シリコンとシステムの境界の曖昧化
  • 多種多様な設計プラットフォームと互換性のある、オープンで包括的なマルチフィジックスプラットフォームの必要性増加
  • GoogleやAmazonのようなハイパースケーラーやシステム企業におけるカスタムチップの必要性とその価値の増加

 

シリコン設計とシステム設計の境界が曖昧化

3D-ICの登場により、シリコンに実装可能なソリューションの新しい領域が広がりました。しかしそれと同時に、これまで何十年にもわたって共存してきた2つの異なる技術分野が、緊密に統合されることにもなります。IC設計とプリント基板(PCB)設計です。それぞれの市場では、異なるツール、異なるデータフォーマット、異なる製造バックエンドが使用され、計算においても物理形状においてもスケールが異なり、物理的な重要点も異なります。しかし、3D-ICでは両市場の多くの側面が共有されます。3D-ICには、複数のモノリシックチップだけでなく、チップをつなぎ合わせるための基板も含まれます。そして、この2つの分野の間にあるパッケージングは、全く別の領域であり、企業は設計の能力およびフロー、さらには組織構造を再構築する必要があります。

 

オープンで拡張性のあるマルチフィジックスプラットフォーム

チップ設計がPCB設計やパッケージ設計とは縦割りになっていることは、それぞれ孤立したデータ構造を開発してきたことを意味し、3D-IC設計におけるマルチフィジックス解析の幅広さを扱うには適していません。計算流体力学、機械的応力、電磁放射など、さまざまな物理分野を、オープンで拡張性のあるマルチフィジックスプラットフォームの上で連携させる必要があります。こうしたプラットフォームは、最新のクラウドコンピューティングの枠組みを活用し、個々の設計プラットフォームを接続して包括的なマルチフィジックス解析を可能にして、ひとつのエコシステムを構築する必要があります。

 

カスタムチップ

今日、市場をリードする企業の継続的な成功と市場での差別化は、テクノロジーに大きく依存しています。オンライン小売企業、通信企業、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)企業、ハイパースケール企業など、あらゆる企業が既製のソリューションではなく、自社を優位に立たせるためのカスタムメイドのシリコンに目を向けています。その多くの企業が、広範な市場データを学習させた独自のAI/MLアルゴリズムを活用して市場シェアを獲得しようとしています。そのためには膨大な計算能力と、専用チップが必要です。今日の世界においては、高品質のシリコンソリューションへのアクセスが極めて重要であり、より複雑でパワフルな電子機器が求められています。

 

電子設計の変曲点となる3D-IC

間違いなく3D-IC設計は電子設計の変曲点であり、この新しい現実に基づいて電子設計業界を再編成する大きな課題を提示しています。

この課題に関する半導体業界のリーダーの見解は、最新のAnsys IDEASフォーラムでのArm Central Engineering Systems GroupのVP Engineering、Vicki Mitchell氏による基調講演「2.5D and 3D - The Road Ahead」をご覧ください。また、EDAの観点からは、SynopsysのSNUG World 2021で発表された「Successful 2.5D and 3D Multi-die Silicon System Design Using Synopsys' 3DIC Compiler and Ansys' Multiphysics Analysis」をご覧ください。

 

John Lee氏について

John Lee headshotAnsysのエレクトロニクス・半導体ビジネスユニットのGM兼VPであるJohn Lee氏は、初の集積回路設計専用ビッグデータプラットフォームを開発したGear Design Solutions(現Ansys)の共同設立者兼CEOを務めました。他にも2つのスタートアップ企業(Mojave Design、Performance Signal Integrity)を共同設立し、いずれも現在はSynopsys傘下に入っています。カーネギーメロン大学で学士号と修士号を取得しています。